常石造船、メタノール二元燃料船設計の承認取得
常石造船株式会社(広島県福山市)は、Maersk Mc-Kinney Møller Center for Zero Carbon Shipping(MMMC)と手を組み、重油焚きの既存船をメタノール二元燃料船に改造するプロジェクトを進めてきました。この度、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)から基本設計承認(AiP)を取得し、新たな航海の一歩を踏み出しました。
プロジェクトの背景と目的
従来の重油に依存した海運業界は、環境面での負荷が大きいことから、脱炭素化の必要性が急務とされています。このプロジェクトでは、常石造船が得意とする中型ばら積み貨物船KAMSARMAXを基に、メタノール燃料の利用を促進するための設計を行っています。
既存の船舶が新しい燃料に転換できることで、長期的なGHG排出量削減に寄与することが期待されています。特に、メタノールは常温常圧の液体燃料で、貯蔵や取り扱いが容易であり、環境負荷の低減が大きなメリットとされています。
設計の詳細と技術検証
設計における最大の課題は、メタノール燃料タンクの配置でした。船尾、船底、中央部など複数の候補から、船体の強度や航続距離、改造にかかる工事量を総合評価し、船倉内に配置する決定がなされました。この決定はHAZID会議やClassNKによる技術審査を経て、技術的な成立性と安全性が確認された結果、承認に至りました。
世界の海運に与える影響
現在、ばら積み貨物船は全世界の船隊の約15%を占め、その中でもKAMSARMAXのような中型の船舶は30%を形成しています。このことから、改造されたメタノール二元燃料船が実運用されることにより、世界の海運業界における脱炭素化は確実に進展する見込みです。
常石造船の代表取締役社長、奥村幸生氏は、「2050年までに全ての新造船を二元燃料船にすることを目指しています。本プロジェクトは、既存船舶の脱炭素化の重要な一歩であり、メタノールの可能性を広げる機会です」と述べています。
今後の展望と取り組み
常石造船は、メタノール燃料への転換を進める中で、さらに多くの既存船への改造へと視野を広げ、脱炭素化社会に貢献することを宣言しました。新造船だけでなく、既存の船舶にもこの新しい技術を応用することで、海運業界全体のカーボンニュートラル化を目指します。
おわりに
メタノール二元燃料船は、海運の未来を切り開く重要な技術といえます。常石造船の今回の成果は、持続可能な航海を志向する業界にとって、希望の光となるでしょう。今後も新しい取り組みを注視していきたいと思います。