下水からの変異株発見
2025-05-29 11:07:21

新型コロナ変異株を下水から検出する最新研究の全貌

新型コロナ変異株を下水から検出する最新研究の全貌



新型コロナウイルスの流行が続く中、金沢大学と新潟大学、さらには情報・システム研究機構が共同で実施した研究が新たな局面を迎えました。この研究では、下水から新型コロナウイルスの変異株を特定することに成功し、地域特有の変異がどのように広がっているのかを詳細に分析しました。

研究チームの概要


このプロジェクトには、金沢大学の本多了教授、新潟大学の阿部貴志教授、国立遺伝学研究所の有田正規教授らが参加しています。また、民間企業であるAdvanSentinelやヴェオリア・ジェネッツ、クボタなども協力しており、学際的なアプローチをとった研究です。研究成果は2025年5月28日に『PLOS One』に掲載予定です。

下水ゲノム疫学の目的


下水中に含まれるウイルスや微生物の遺伝情報を解析する下水ゲノム疫学手法は、感染症の流行状況や変異株の動向を探る上で非常に重要です。特に、この手法は従来の臨床検体からだけでは捕らえきれない地域特有の変異株を把握するのに役立ちます。

研究の発見


本研究では、石川県小松市と静岡県浜松市の下水から新型コロナウイルスの遺伝情報を解析し、未だ臨床検体で報告されていない新たな亜系統「XBT」が特定されました。この発見は、下水を通じて新型コロナウイルスの新しい変異株による感染の兆候を早期に捉える可能性を示唆しています。

例えば、小松市では、17週間にわたり流行したBA.5系統の変異株の変遷も確認されており、特定の変異においては通常の臨床サーベイランスでは捉えられないような遺伝子変異が観察されました。これにより、ウイルスの進化過程へより深く迫ることができるようになりました。

予測と公衆衛生への影響


研究の結果は、感染症の早期探知や公衆衛生対策を迅速化する上で非常に重要です。地域単位で変異株の出現・拡散を可視化することができるため、将来的にはパンデミック予測や感染制御に寄与することが期待されています。

また、JST-CRESTというプログラムの下、異分野融合の技術が新型コロナウイルスに関する研究成果として実を結びました。このような研究が進むことで、感染症に対する理解がより深まることが期待されます。

今後の展望


今後は、下水中のウイルスゲノムの解析を進め、流行株の変遷を明確にし、さらなる地域分析が求められます。この実績が広がることで、新型コロナウイルスに対する集団免疫やワクチンの開発にも寄与することが見込まれています。

新型コロナウイルスの潜在的な変異や新たな感染源を探るための研究は、科学コミュニティにおいて重要な役割を果たしています。これらの努力が今後の科学的成果につながることを期待しています。


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