特別支援教育を支えるAI技術の最前線
Polaris.AI株式会社は、文部科学省が実施する「学びの充実など教育課題の解決に向けた教育分野特化の生成AIの実証研究事業」に選ばれたことを発表しました。今後は、特別支援教育における教員の業務負担を軽減し、質の高い教育を提供することを目的としたAI技術を開発していきます。
特別支援教育の課題
特別支援教育においては、個別の指導計画を立てることが不可欠ですが、これは非常に手間がかかります。主な課題として以下の点が挙げられます。
1.
高度な専門知識が必要
学習指導要領や発達段階の理解、さらには自立活動に関する多岐にわたる知識が求められます。このため、特別支援教育が初めての若手教員には非常にハードルが高くなっています。
2.
計画立案の複雑さ
一人一人の障害や特性に合わせた計画を立案するためには、緻密なプロセスが必要で、業務の負担が大きくなります。
3.
横断的思考の要求
各教科間のつながりや、過去の指導計画の流れを踏まえた指導が求められ、思考が煩雑になります。
これらの課題により、多くの教員は専門的な知識だけでなく、経験も必要とされるため、定型的なサポート体制が求められています。
AIを活用した解決策
Polaris.AIでは、生成AIを活用して、以下のような支援を行うことを目指しています。
1.
専門知識の即時提供
AIは、障害ごとの指導方法や発達段階に基づいた適切な手立てを即座に提示することで、教員の負担を軽減します。
2.
対話型支援システム
教員の意図を尊重しつつ、AIが「なぜその目標が妥当か」や「どの手立てが効果的か」を説明し、一緒に計画を作り上げることを可能にします。
最新技術の活用
本実証研究で導入される技術は、LLM(大規模言語モデル)を使った動的ワークフロー制御です。これは、ただの質問応答ではなく、自律的に複雑なタスクを実行することができます。
あらかじめ定義されたフローに依存せず、児童生徒の実態に合わせてAIが適切な計画策定プロセスを選びます。
AIは自身のアウトプットを評価し、必要に応じて再考・修正することでより質の高い計画案を提供します。
学習指導要領や過去の資料を参照することで、より根拠のある提案が可能になります。
この技術を教育現場の実際の課題に適用し、その効果性を検証する予定です。
将来のビジョン
本実証を通じて、特別支援教育の個別支援計画作成の負担軽減と質の向上を図り、最終的には通常学級での不登校児童や外国からの児童生徒を含む全ての子どもたちに対して「個別最適・協働的な学び」の実現を目指します。
Polaris.AIは、松尾研発スタートアップとして、教育現場におけるAI技術の活用を通じて教員の専門性の向上と働き方改革を同時に進めていく考えです。
まとめ
Polaris.AI株式会社は、最先端の技術を駆使して特別支援教育の現場をより良くするためのさまざまな取り組みを行っています。今後の展開が非常に楽しみです。