新しい製剤技術
2025-06-18 14:41:31

静岡発、クリルオイルとMCTを用いた新しい製剤技術が注目を集める

静岡発、クリルオイルとMCTを用いた新しい製剤技術



2025年5月に東京で開催される「日本薬剤学会第40年会」に向けて、静岡県富士市に本社を置く三生医薬株式会社が、注目すべき研究成果を発表しました。この研究は、静岡県立大学の尾上教授と共同で進められたもので、特に難吸収性の素材に対して新しいアプローチを提供しています。新たに開発された製剤技術は、南極オキアミ由来のクリルオイルと中鎖脂肪酸(MCT)を組み合わせたもので、吸収の持続性を向上させる可能性を秘めています。

新たな機能性食品の設計



現在、市場には多くの健康食品やサプリメントが出回っていますが、多くの企業が直面している問題は、「成分が優れていても、体内に吸収されにくい」ということです。三生医薬の研究チームは、この課題に対し、吸収を制御する新しい処方を設計することを目指しました。特に、コエンザイムQ10やアスタキサンチンなどの難吸収素材を用いた製品を開発する企業にとって、この新技術は大きなヒントになると考えられています。

実験の概要



今回の研究では、吸収性が高くない脂溶性成分「セサミン」を用いて、その吸収持続性を評価しました。セサミンをクリルオイルとMCTオイルの混合液に溶解し、ラットに与えたところ、セサミンがより緩やかに、かつ長時間にわたって体内に吸収されることが確認されました。また、7日間の連続摂取後に脂質負荷試験を行った結果、クリルオイルとMCTを含む群が血中トリグリセリドの上昇を有意に抑制したことがわかりました。これにより、この新しい技術が持続的な吸収と機能発現を両立させる可能性が明らかになりました。

マトリックス構造の観察



研究では、クリルオイルとMCTが形成するマトリックス様構造が脂溶性成分の吸収を助ける仕組みについても調査されました。偏光顕微鏡による観察から、油性成分とリン脂質が形成する微粒子がどのようにマトリックスに分散しているかが確認されました。このマトリックス構造が、消化管内での緩やかな放出と持続的な吸収を可能にすると考えられています。

学会での反響



日本薬剤学会第40年会では、この研究に対し多くの質問と関心が寄せられました。参加者からは「クリルオイルが形成するエマルションはそのまま吸収されるのか?」という問いかけがあり、研究者は「エマルションから成分が放出された後に吸収される」と明確に回答しました。また、放出メカニズムについての詳細も説明され、機能性素材の新たな設計視点が強調されました。

企業の期待と今後の展望



三生医薬の研究開発本部長、又平芳春氏は、「この製剤技術は、吸収されにくい素材をどう機能させるかという問題に取り組んだもので、機能性素材の可能性を引き出すことができる」とコメントしています。今後も三生医薬は、製剤技術の開発に努め、共同研究や製品開発において新たな価値の提案を行うことを目指しています。

このように、静岡県から発信されたこの研究は、機能性食品やサプリメントの新たな設計方法をご提案するものとなっており、今後の市場においても大きな影響を与えることが期待されます。興味のある企業や研究者は、三生医薬と連携することで、新たな製品の開発に取り組むことができるでしょう。


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