静岡県、スタートアップと共にインバウンド課題を解決
静岡県は、風光明媚な観光地として知られていますが、インバウンド需要の拡大に伴い、地域特有の課題も浮き彫りになっています。そこで、地域の魅力をさらに引き出すべく、新たな取り組み「SHIZUOKA INBOUND TOURISM INNOVATION 2025」が始動しました。これは、静岡県と全国のスタートアップ企業との連携を通じて、観光分野の課題を解決するための実証実験です。
プログラムの概要
このプログラムは、自治体が抱えるインバウンド観光に関わる課題を特定し、それに対して革新的なソリューションを提供可能なスタートアップ企業をマッチングすることによって、観光資源を活用した地域経済の成長を目指します。9つの自治体が選定され、それぞれにスタートアップとの協業案が進められています。
取り組まれる課題と実証実験
実施される実証実験は、主にデータ分析、プロモーション、商品造成に分かれています。以下に具体的な取り組みをご紹介します。
1. 東伊豆町 × しがとせかい株式会社
- - 課題: 自治体向けの広報支援
- - 内容: アクセスデータをもとに訪日客からの口コミを促進するAI分析や、記事の多言語生成を行います。
2. 富士市 × 株式会社Otono
- - 課題: 「富士山夢の大橋」周辺の来訪者データの分析
- - 内容: GPS技術を利用した音声ガイドMAPの提供により、訪れる観光客の動向を把握し、周遊促進を図ります。
3. 県空港振興課 × LocationMind株式会社
- - 課題: 富士山静岡空港利用者の人流把握
- - 内容: モバイルGPSデータを使用したインバウンド人流データの詳細な分析を行います。
4. 下田市 × SO4YOU株式会社
- - 課題: インバウンド向けプロモーション強化
- - 内容: 韓国のインフルエンサーを活用したプロモーション活動を行い、アプリ内での体験型ツアーの販売に結びつけます。
5. 島田市 × ANd muni株式会社
- - 課題: 食のコンテンツの発信不足
- - 内容: 地元特産の練りきりを使用した体験ワークショップの開催を通じて、旅行の動機付けを図ります。
6. 県スポーツ政策課 × 株式会社Plaru
- - 課題: サイクルツーリズムにおけるインバウンド誘客
- - 内容: AIを活用した旅行計画アプリによるサイクリングルート提案とデータの取得を行います。
7. 焼津市 × 株式会社ビジョンサービス
- - 課題: 寄港予定のクルーズ船旅客の受入体制強化
- - 内容: AIチャットボットを導入し、多言語対応による旅客サービスの質を向上させます。
8. 磐田市 × 株式会社mocha-chai
- - 課題: 訪れる外人向けコンテンツ不足
- - 内容: 企業研修視察プログラムを通じて産業観光の魅力を伝えます。
9. 県文化財課 × 株式会社モズラボ
- - 課題: 文化財の認知度向上
- - 内容: 文化財や文化施設を組み合わせた旅行商品の造成とモニターツアーを実施します。
実証実験の進行状況
多くの実証実験は2024年の2月まで実施される予定です。例えば、下田市では韓国人インフルエンサーとのファンツアーや、島田市での練りきりワークショップが控えているなど、地域の魅力を引き出すさまざまなプランが進行中です。
このような取り組みによって、静岡県のインバウンド観光のさらなる発展が期待されています。私たちの地域が持つ美しさや文化が、訪れる人々によって再発見され、共に育まれていく未来が訪れることを願っています。