QPS研究所が提供する新たな宇宙技術の幕開け
2025年9月1日(月曜日)、福岡市に本社を構えるQPS研究所が、同社が開発した新たな小型SAR衛星「クシナダ-Ⅰ」の初画像(ファーストライト)を公開しました。この衛星は、農業や地域社会への新たな貢献を目指して、観測データの提供を行っています。
クシナダ-Ⅰの打上げと初期運用
「クシナダ-Ⅰ」は、2025年8月5日(火曜日)に米国ロケット・ラボ社のロケット“Electron”にて打上げられ、その後無事に衛星として分離されました。打上げから53分という短時間のうちに、初交信に成功し、続いて収納型アンテナを展開しました。このような迅速な運用が可能なのは、QPS研究所が北部九州の企業と連携しながら技術を開発してきた成果です。
ファーストライト画像の公開
今回公開された画像は、2025年8月29日(現地時間)に取得されたもので、高精細モードでの観測が行われました。この衛星は、分解能が1.8mの通常モードと、46cmの高精細モード(スポットライトモード)の2つの観測モードを持ち、場所に応じて柔軟にデータを取得することができます。
観測したエリア
1.
新潟県 新潟市:このエリアでは、日本最長の大河である信濃川の周囲に広がる越後平野が捉えられています。農業において重要な役割を果たすこの地域は、観測データが持続可能な農業へのインパクトを持つと期待されています。
2.
静岡県 牧之原市:日本有数の茶の生産地として知られる牧之原市の茶畑や、その付近に広がる自動車工場やソーラーパネルが映し出されています。新たな農業技術やリソース管理への提供が期待されています。
3.
米国 ニューヨーク州 ニューヨーク:マンハッタンを中心にセントラルパークの緑地や高層ビル群も捉えられており、都市のインフラを鮮明に観測することが可能です。
大西社長のコメント
QPS研究所の代表取締役社長である大西俊輔氏は、ファーストライトの発表に際して「初期調整が順調に行われ、運用のスタートを切ることができたことを喜ばしく思います。私たちの目指す衛星コンステレーションの構築に向けた一歩を踏み出しました」と述べています。彼はまた、エンジニアチームへの感謝の意を表し、今後さらなる衛星数の増加を目指す考えを示しました。
未来への期待
QPS研究所の取り組みが、今後さらなる発展を遂げ、地域社会や環境への貢献にもつながることが期待されます。高度な観測技術を駆使し、新たなビジョンを持って宇宙開発にチャレンジする同社の動向には、今後も注目が集まることでしょう。
会社情報
QPS研究所は2005年に設立され、九州を拠点に宇宙産業の発展に貢献しています。人工衛星の開発を進めつつ、今後の展望を広げる同社に、ぜひ注目してみてください。