知的障がい者の成長をサポートする『夢育て1.0』が始動
ファミリーマート株式会社は、知的障がいのある社員のために新たな支援プログラム「夢育て1.0」をスタートさせた。このプログラムは、日本初の取り組みとして、知的障がいを持つ社員に特化しており、認知機能の発達と主体性の向上を目的としたものだ。特に、2025年10月から本格的な実施を開始することが決まり、期待が高まっている。
何を目指すのか
このプログラム「夢育て1.0」は、社員が持つ潜在能力を引き出すことを主眼に置いている。具体的には、社員一人ひとりができる作業の幅を広げたり、高いチームワークを必要とする業務を担える技能を育むことを目指している。また、作業における自立を促進し、結果的には豊かなキャリアの形成を支援する。ファミリーマートでは、約50名の障がいを持つ社員が千葉県流山市の農場で有機野菜の栽培に取り組んでおり、これが実践の場となる。
プログラムの内容
「夢育て1.0」では、認知発達教育の先進的なメソッドである「フォイヤーシュタインメソッド」や、身体の使い方を学ぶ「ブレイン・ジム」が取り入れられている。
1.
フォイヤーシュタインメソッド: 認知能力を高めるために設計されたプログラムで、心理学者ルーヴェン・フォイヤーシュタインによって開発されたものである。このメソッドは、「媒介学習体験」を基にした認知の変化を促すもので、社員が持つ知的能力を引き出すために重要な役割を果たす。
2.
ブレイン・ジム: 身体を使った学習方法で、運動能力や作業効率を向上させる目的で開発されたエクササイズを通じて、自信を高めるとともに、学びのプロセスをよりスムーズにする効果が期待される。
さらに、「夢や希望を語る時間」も設けられており、社員が自身の夢を語り、主体性を育む場として機能する。
研修の実施概要
このプログラムには、知的障がい・発達障がいのある社員10名が参加し、約1年間の期間中毎週水曜日に実施される予定だ。また、株式会社夢育ての専門の講師が、研修を効果的に進行し、農作業との連携も図られる。研修開始前には、個々の認知機能を測るアセスメントが行われ、プログラム終了後にも再評価が行われることで、効果的な進捗が確認される。
このような取り組みは、企業にとって新たな障がい者雇用の形を示すものであり、ファミリーマートはこうした支援を通じて、より多様性のある職場環境を育むことを目指している。
専門家による期待の声
このプログラムの意義を強調するのが、株式会社夢育ての前川哲弥代表だ。彼はこのコラボレーションによって、障がいを持つ人たちが「成長の歓び」を味わいながら、職場で働き続けることができる「幸せな職場」を実現することができると信じている。これは、社会における新たなイノベーションの一歩でもあり、期待が高まる。
また、兵庫県立大学の豊田正博教授も、プログラムが障がい者の認知能力と運動能力を向上させる相乗効果を生むことに期待を寄せている。農作業は、こうした能力を実践する絶好の場であり、本プログラムが多くの障がい者の職能向上につながると考えられている。
未来への希望
ファミリーマートは、「あなたと、コンビに、ファミリーマート」という理念のもと、今後も障がいのある社員の自立と成長を支援していく。この「夢育て1.0」を通じて、社員全員が活き活きと働くことができる職場を目指すとともに、地域社会への貢献を続け、ダイバーシティ&インクルージョンの実現に向けた取り組みを継続していくことを表明している。