磐田市で始まる道路と水道のハイテク連携実証プロジェクト

静岡県磐田市において、株式会社天地人と株式会社アイシンが共同で行う画期的なプロジェクトが始まります。この取り組みは、日本で初めて道路管理と水道管理がシームレスに連携する実証実験で、地域のインフラ管理の新たな時代を切り開くものです。

1. プロジェクトの概要

このプロジェクトでは、衛星データを駆使して漏水リスクを診断する「宇宙水道局」と、AIを使って車載カメラで路面の異常を検知する「みちログ」を組み合わせ、地下の水道管の劣化具合と地上の路面異常（ひび割れやポットホールなど）の関連性を調査します。従来は個別に管理されていたインフラ点検を、データ連携によって一元化することで、事故防止の精度向上や維持管理コストの削減を目指します。

このプロジェクトは、2025年9月から始まり、2026年2月までを予定しています。磐田市の道路パトロールカーに加え、タクシー会社である遠鉄タクシーの協力を得て、特別に設計されたカメラと車載器を搭載したタクシーが市内を走り、迅速にデータを収集します。

2. 役割分担

このプロジェクトでは磐田市、アイシン、天地人、遠鉄タクシーの4者が協力します。

- 磐田市は、実証実験のフィールドを提供し、行政的なサポートを行います。
- 天地人は、宇宙水道局の一環として衛星データを用いて漏水リスクの評価を担当します。
- アイシンは、みちログの技術を用いて道路の異常を検知します。
- 遠鉄タクシーは市内の走行データを収集する役割を担います。

3. 社会的意義

日本国内の上水道では、法定耐用年数を超えた管路が膨大に存在し、年間に多くの漏水事故が発生しています。一方で、老朽化した道路も増え、住民の安全を脅かしています。このような課題が背景にある中、本プロジェクトは地上と地下の情報を統合分析することで、事故や問題の早期発見につなげることができます。

特に、国土交通省が推進している「群マネ」の考え方に基づき、地域のインフラ管理を一元化していく先駆的なプロジェクトとして注目されています。

4. 未来の展望

プロジェクトが成功すれば、このモデルが全国、ひいては国際的な展開が期待されます。今回の実証実験によって確立されたインフラ管理の新しく効率的な方法が、他の地域や国でのインフラ整備の基準になるかもしれません。さらに、地域経済や企業のパートナーシップによるデータ収集の最適化が、地域に根ざした持続可能な経済の循環を実現します。