持続可能な水産資源とブリの完全養殖を目指すマリンバースの進展
近年、海洋環境の変化や温暖化が水産業に与える影響が大きくなっています。その中で、株式会社FOOD & LIFE COMPANIES(以下「F&LC」)と株式会社拓洋の共同出資会社、株式会社マリンバースが注目を集めています。この企業は、持続可能な水産資源の確保に向けて、ブリの人工種苗の生産と販売を目指しています。
1. マリンバースの設立とその背景
2022年4月に設立されたマリンバースは、F&LCが運営する人気寿司チェーン「スシロー」と、マダイやクロマグロの養殖技術を持つ拓洋とが連携し、持続可能な水産資源の調達を目的としています。これまで、日本国内でのブリ養殖は主に天然種苗に依存していましたが、ブリの産卵期(春から初夏)に限られた状況を考慮すると、気候変動による資源の変動が大きな課題です。
2. ブリ人工種苗の開発
マリンバースは、この課題に対処すべく、従来の天然種苗に依存しない完全養殖の道を模索しました。2024年には人工種苗の生産テストが成功し、2025年の夏には初めて商業化に成功します。特に今年の夏は高水温期を迎えますが、順調に成育していることを確認しました。これにより、持続可能な水産業の未来が見えてきたと言えるでしょう。
3. マリンバースの今後の展望
マリンバースでは、作られた人工種苗を利用し、さらなる安定供給に向けたサイクルを構築していく方針です。人工種苗から育てた成魚が再び親魚となり、そこから新たな稚魚を産卵、孵化させることで、完全養殖の実現を目指します。これにより、天然資源を保護しつつ安定した水産物の供給が可能になるのです。
また、養殖された水産物は、管理された飼育環境下で育成されるため、味わいや脂乗りのコントロールも期待できます。これは消費者にとって、安定した商品を提供する大きなメリットとなります。
4. 生産・販売の流れ
人工種苗は、尾鷲物産の協力のもと、養殖を経て2027年には「スシロー」での販売が予定されています。マリンバースは環境保護と食文化の発展を両立させる取り組みを進めています。
5. まとめ
このように、マリンバースは持続可能な水産資源の確保に向けた革新的な挑戦を行っています。今後も、環境を考えた持続可能な調達と美味しい食材の提供を目指して、引き続き進化し続けるでしょう。私たちは、その成果を楽しみにしています。