クミアイ化学が進める半導体向けビスマレイミド類の生産体制強化
クミアイ化学は、デジタル技術が進展する現代社会で求められる半導体向けビスマレイミド類(BMI)の生産体制を強化するため、新たなプラントを静岡県磐田市に完成させました。これにより、急成長を遂げる半導体市場における優位性を高め、さらなる技術革新へと繋がることが期待されています。
半導体市場の急成長とその背景
世界半導体市場は、2024年に前年比16.0%増となる6,112億米ドルに達し、2025年も成長を続ける見通しです。デジタル化が進み、AIや高速通信技術が私たちの生活に浸透する中、半導体はその基盤を支える重要な存在として位置付けられています。しかし、技術の進化が進む一方で、高速データ処理に伴う温度上昇への対策が大きな課題となっています。
温度上昇への対策とBMIの重要性
半導体の小型化と高密度化が進む中、自己放熱の難しさから寿命短縮や熱暴走のリスクが高まっています。これを解決するためには、冷却システムや耐熱性のある材料の使用が不可欠です。そこで登場するのが、クミアイ化学の子会社であるケイ・アイ化成が製造するビスマレイミド類です。これらは、熱硬化性樹脂のモノマーとして、積層板や複合材料に耐熱性や強靭性を付与し、高温環境でも高い性能を維持します。
新プラントの概要と期待される効果
新プラントの竣工は、2023年5月19日。これにより、BMI類の生産体制はさらに強化され、生成AIサーバーや通信ネットワーク拡充に伴う需要の急増に応えることができます。特に、低軌道衛星(LEO)向けの電子材料としての採用も進んでおり、新たな市場開拓が期待されています。
新プラントでは、生産効率の向上のみならず、新しいBMI誘導体の開発や新規顧客、用途の開拓も進められます。これにより、クミアイ化学グループは化成品事業においてさらなる成長を目指します。
ケイ・アイ化成の事業展開
1975年に設立されたケイ・アイ化成は、電子材料向けのBMI類のほか、農薬や医薬中間体など多岐にわたる有機中間製品を手掛けています。また、殺菌剤や防腐剤、温泉消毒剤などの製造・販売も行っています。これにより、多様な産業に貢献し、持続可能な社会の実現に寄与しています。
クミアイ化学グループのビジョン
クミアイ化学は、創造する科学を通じて「いのちと自然を守り育てる」ことをテーマに、70年以上にわたって農薬や化成品の開発を行ってきました。世界市場を意識しながら新農薬の研究開発を進め、様々な社会課題の解決にも貢献しています。新プラントを通じて半導体分野でも存在感を増し、未来のテクノロジーに貢献する企業としての成長を遂げることが期待されます。
このように、クミアイ化学の新プラント設立は、半導体市場へのアプローチを強化する重要なステップであり、これからの進展に目が離せません。