静岡県浜松市にある浜松ウォーターシンフォニー株式会社(HWS)が、日本初となる下水処理の余剰熱を使用した「温水かけ流し式陸上養鰻」のパイロット事業を実施しました。この事業は、浜松市の西遠浄化センターにおいて成功裏に行われ、地元関係者が集まる報告会と試食会も開催されました。
特に注目されたのは、新たに導入された特許出願中の運転制御技術によって、従来の5分の1の温水消費量を達成しつつ、養殖密度を大幅に向上させた点です。これにより、当初計画に比べて約30倍の生産効率を実現可能となり、コストも15〜20%の削減が期待されています。
今回の実証では、一般的な養鰻業の養殖密度が1〜3%である一方、HWSは今月末までに目標の18%に到達する見込みです。このような高密度飼育を実現することで、従来のタンク養殖でのコストを大きく減少させることが可能となります。
また、換水率も従来必要とされる「全量入れ替え」の想定から大幅に改善され、1日5回の換水で済むようになりました。これは水質管理の工夫によって実現したもので、下水処理で発生した余剰熱を最大限に活かすことができます。
試食会では、実際にこの新しい方法で養殖されたうなぎが振る舞われ、関係者はその味わいを評価しました。出席した浜松市長や水道事業、養鰻業の業界関係者たちもこの新技術に期待を寄せていました。
今後、HWSは2025年から持続可能な養殖技術の確立に向け、さらなる実証試験を行う予定です。そして、2027年までに試験結果を分析し、事業性調査を実施する計画も進行中です。この計画が実現すれば、浜松市内の1軒あたりの年間生産量と同等規模となる約90トンの生産が見込まれています。
さらに、環境面でもこの新たな技術は高いポテンシャルを持っています。従来の加温用の燃料費をゼロにできるだけでなく、CO2排出量の削減にも繋がることが期待されています。これにより、浜松市は持続可能なサーキュラーエコノミーの構築にも貢献できるでしょう。
浜松ウォーターシンフォニーは2017年に設立され、公共下水道の運営を担う企業です。今回のパイロット事業を通じて、地域の養鰻業界と連携を強化し、持続的な産業振興に寄与していくことを目指しています。
「温水かけ流し式陸上養鰻」は、簡素化された養殖設備が特徴で、今後の養殖業界に新たなスタンダードを確立する可能性を秘めています。浜松市はこれからも、新しい技術の導入や地域の特産品であるうなぎの振興に力を入れていくでしょう。