ヤマシタとウェルファン、合弁会社設立の背景
介護用品のレンタル・販売事業で知られる株式会社ヤマシタ(静岡県島田市)と、大手卸売業者の株式会社ウェルファン(大阪府寝屋川市)は、新たに合弁会社「山下為楽帆(上海)実業発展有限公司」を設立しました。この会社は、中国における介護用品の販売を目指し、2025年10月の事業開始を予定しています。
ヤマシタは、日本で40年の経験を持つ企業として、質の高い介護用品を提供してきました。そのノウハウと、ウェルファンの国内メーカーとの強力なネットワークを駆使し、都心部の上海を拠点に中国市場への本格的な参入を図ります。
急成長する中国の在宅介護市場
中国では、1979年から2014年に施行された「一人っ子政策」の影響もあって人口の高齢化が深刻です。2022年には65歳以上の高齢者が約15%を占め、特に上海市ではその比率が28%に達しています。また、介護・リハビリ商品や高齢者向け食品市場は2025年には1.8兆元(約36兆円)に達すると推計されており、2030年までにはさらに倍増する見込みです。
中国政府は、介護市場のさらなる強化を「国家戦略」として掲げ、補助金制度を設けるなど具体的に介護用品の普及を後押ししています。これに伴い、ヤマシタとウェルファンは、この市場のニーズに応えるべく共同事業を展開し、介護を必要とする多くの人々に貢献することを目指しています。
合弁会社の事業展開
山下為楽帆(上海)実業発展有限公司では、まず介護シューズや杖、歩行器といった基本的な介護用品の提供からスタートします。また、リハビリ機器や食事関連の用品など、徐々に商品ラインナップを増やしていく計画です。中国国内での販売チャネルとしては、介護施設や医療機関への卸売、オンラインモール型のECサイトでの販売、さらには直接販売を行う実店舗の設置も計画しております。
最初の大規模な発表は、2025年に上海で開催される「CHINA AID 2025」で行われ、多くの現地業者との取引が期待されます。さらに、2030年には売上高30億円を目指す目標が設定されており、中国展開が進むにつれて、質の高い日本製介護用品の普及が期待されます。
企業の背景
ヤマシタは、1963年に設立され、正しく生きる、豊かに生きるという企業理念のもと、リネンサプライや介護用品の業界で大きなシェアを誇っています。またウェルファンも、1982年から介護関連商品の製造・卸売を行い、高齢者市場の拡大に寄与してきました。両社が協力することで、より高品質な介護商品を中国市場に届け、多くの人々に寄り添うビジネスモデルを構築することが期待されています。
今後の事業展開に、大いに注目が集まります。