静岡県の環境と福祉を結ぶ新たな取り組み
静岡県内の使用済みパソコンのリサイクルと障がい者の雇用促進を目指す「環福連携協定」が2025年10月6日、静岡県庁で調印されました。この試みは静岡県、リネットジャパンリサイクル株式会社、そして株式会社クラ・ゼミの三者によるもので、全国的にも注目される画期的な取り組みとなります。
環福連携協定とは?
この協定は、使用済みパソコンの適正処分と障がい者がそのリサイクル業務に参加できる仕組みを構築することを目的としています。静岡県の鈴木康友知事、リネットジャパンの黒田武志会長、クラ・ゼミの倉橋徒夢社長が揃い、具体的な施策を協議しながら進めることとなります。
これにより、静岡県民や企業から不要になったパソコンを集め、それを障がい者雇用の一環としてリサイクル業務に回す仕組みが整備されます。静岡県内では、年間約31万台の不要パソコンと80万台の家庭で眠るパソコンが存在し、これを循環型社会の実現に活かすことが期待されています。
サステナビリティと雇用の両立
この「環福連携」は、静岡県内の障がい者雇用率が2.43%(全国32位)であることを背景にし、法定雇用率(2.5%)を達成するための重要なステップともなります。法定雇用率を満たす企業は1,765社と、全体の約51.4%にとどまり、課題が残されています。
「環福連携により回収されるパソコンを活用し、障がい者が活躍できる舞台を提供することで、雇用の促進を図りたい」と語るのは、クラ・ゼミの倉橋社長です。この取り組みは、環境に優しさをもたらすだけでなく、障がい者に新たな働く場所と機会を与えることができます。
実施の流れ
具体的な流れとしては、静岡県の協力のもと、リネットジャパンが使用済みパソコンを回収・データ消去し、必要な処理を施すことで、リサイクル状態に仕上げます。その後、クラ・ゼミがこれらの業務を障がい者雇用という形で支援し、就労の促進を図ります。
この一連の流れを通じて、リサイクル業務から得られる収益が障がい者雇用の支援や、さらなるパソコン回収の資金源となります。リネットジャパンは回収したパソコンから得られるレアメタルを再資源化すると同時に、障がい者雇用にも貢献するという、持続可能なビジネスモデルを提案しています。
職を生み出し、地域を活性化
新たな取り組みである「静岡環福連携促進協議会」は2025年11月1日に設立予定で、環境活動と障がい者雇用促進に取り組むためのプラットフォームとして機能します。リネットジャパンとクラ・ゼミが事務局を務め、情報共有や会員交流を促進することで、地域全体でのインクルーシブな社会の実現に寄与することが期待されています。
この連携によって、地域の障がい者が自らの能力を発揮できる機会が生まれる一方で、静岡の持つ環境資源の有効活用にも繋がります。地域全体のステークホルダーが共に参加し、障がい者雇用の拡大と持続可能な社会づくりを目指す挑戦は、静岡から全国に向けた新たなモデルとなるでしょう。
まとめ
静岡県での「環福連携協定」は、環境と福祉が交差する新たなビジョンを掲げ、「誰にだって輝ける舞台がある」ことを実践するものです。地元の社会がどう進化していくのか、関係者の想いと共に、今後の展開に大いに期待が寄せられます。