セントロメア進化の解明
2025-01-12 18:40:17

セントロメアの進化を促進するレトロトランスポゾンのメカニズム解明

セントロメアの進化を促進するレトロトランスポゾンのメカニズム解明



東京大学、国立遺伝学研究所、北海道大学、岡山大学、京都産業大学の共同研究グループは、セントロメアがどのように速く進化し得るのかについて新たな知見を明らかにしました。研究チームは、レトロトランスポゾンがセントロメアクロマチンに特異的に挿入されるメカニズムを解明し、この過程がセントロメアの進化に寄与していることを示しました。この発見は、ゲノムの進化の理解を深める重要なステップと考えられています。

研究の背景



セントロメアは染色体の重要な部分であり、細胞分裂中に遺伝情報を正しく引き継ぐ役割を担っています。しかし、これまでに多くの生物において、セントロメア周辺にはレトロトランスポゾンが多く存在することが知られていましたが、具体的な機能やメカニズムについては十分に理解されていませんでした。レトロトランスポゾンとは、RNAからDNAに逆転写されてゲノムへ挿入される、自己複製を行う遺伝要素です。

新たな発見



東京大学の塚原小百合特任研究員や角谷徹仁教授などが中心となった研究チームは、Arabidopsis 属の植物を用いて実験を行い、レトロトランスポゾンが155遺伝子のCENH3型クロマチンに特異的に挿入されることを発見しました。この新しいメカニズムは、レトロトランスポゾンが単に無作為に挿入されるのではなく、特定の場所に挿入されることで、セントロメアの型や機能に影響を与え、進化を促進している可能性があることを示唆しています。

研究の意義



この研究の成果は、レトロトランスポゾンが急速な進化の要因としてどのように機能し、セントロメアが進化する過程にどのように寄与するのかを理解する上で重要な手がかりとなるでしょう。また、セントロメアや他の遺伝情報組織がいかにしてその形状を維持しつつも新たな変異を取り入れ進化していくのか、より広範な視点から考察することが可能になります。

今後の展望



研究チームは、今後さらにこのメカニズムを詳細に解析することにより、セントロメアやゲノムの進化過程におけるトランスポゾンの役割を解明し、遺伝学や生物学の新たな知見を提供することを目指しています。具体的には、特定のレトロトランスポゾンの挿入がどのようにセントロメアの進化に寄与するのか、また他の生物にも同様のメカニズムが存在するのかを探ることが期待されます。

この研究結果は、2025年1月7日、著名な学術誌『Nature』に発表されました。今後の研究により、さらなる発見が期待されます。

詳しい情報については、岡山大学の公式サイトをご覧ください。


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