デュメンオレンジ、愛知県に移転した試作圃場
デュメンオレンジジャパン株式会社は、切り花カーネーションの試作圃場を静岡県から愛知県へと移転させることを発表しました。これにより、日本市場におけるカーネーション品種の開発がさらに加速します。移転先の愛知県は、カーネーションの生育に最適な環境として知られており、特に暖かい冬と豊富な日照時間が魅力です。この新しい圃場によって、デュメンオレンジは日本の栽培環境やマーケットニーズに合わせた品種選抜に一層力を注ぐことが可能になります。
愛知県の魅力
新たな圃場が位置する愛知県は、特に季節によって大きな影響を受ける花卉栽培にとって理想的な地域です。冬場は穏やかな気候が保たれ、安定した生産が期待できます。さらに、交通の便が良いため、国内での輸送コストを抑え、多くの生産者にとって魅力的な立地です。とはいえ、愛知県の冬以外にも、最近は高温が続く夏の環境が厳しくなっていることも事実です。このため、環境に適応できる強い品種のニーズが高まっています。
デュメンオレンジは、これに対応するため、育種ノウハウを駆使して優れた品種の開発に取り組んでおります。特に「パステルダマスカス」というダマスカスシリーズは、フザリウム菌に対する高い耐病性を持ち、多くの生産者から注目されています。
厳格な選抜プロセス
デュメンオレンジの育種プロセスは非常に厳格で、商品化される品種はわずか1%となっています。まず、スペインにある育種および増殖施設で耐病性や栽培適性を中心に評価が行われ、約1500品種の中から150品種が日本の気候とニーズに基づいて選抜されます。
選抜プロセスは二段階に分かれており、第一段階では主に耐病性試験や開花本数などのデータが重視されます。その後、茎の強度、立ち姿、花弁の開花具合などの外観的要因に関する評価が行われます。それによって、日本の厳しい環境に適した、優れた品種のみが試作圃場での最終試験へと進むのです。
この試験で良好な成績を収めた品種のみが日本市場に登場します。結果として、枯死が少なく、面積あたりの出荷本数が多いカーネーションが供給されることになります。
生産者への支援
デュメンオレンジの取り組みは、国産のカーネーション供給の安定にも寄与すると考えられており、生産者の安心感と利益の拡大にもつながるとしています。2025年以降には、この新しい試作圃場を利用した展示会も予定されており、業界関係者にとって大きな期待が寄せられています。
新たに圃場のオーナーとなった山崎竜典氏は、国内マーケットにふさわしい花卉の生産を目指しており、今回の移転によって保証される質の高いカーネーションの提供を実現することに意欲を示しました。
デュメンオレンジジャパンは、カーネーションやその他の花きの育種を通じて様々なニーズを満たす企業として、今後も地域および市場との連携を強化し続ける方針です。