南伊豆町が目指す新たな行政サービスのカタチ
静岡県南伊豆町では、業務効率の向上と住民へのサービス改善を目指し、新たな取り組みを始めました。株式会社スタディストが提供する自治体向けのマニュアル作成・共有システム「Teachme for Public」を導入し、2025年の5月から全庁での利用が開始されます。このシステムは電子マニュアルとして、業務のデジタル化を促進し、役所に訪れることなく必要な情報を住民に届けることを目的にしています。
導入の背景
日本全国で自治体の職員が人事異動により3〜4年のサイクルで交代します。このため、業務の引き継ぎが難しく、毎回初めての業務を覚え直さなければならないという現状がありました。「Teachme for Public」の導入によって、各職員が個別に持っていたマニュアルの所在が明確となり、必要な情報が一元化されるため、引き継ぎのストレスが軽減されることが期待されます。
職員の負担軽減
南伊豆町の職員は、国からの業務移管に伴い様々な業務を担当しています。人手不足の中で業務量が増加しているため、新人職員であっても迅速に業務を理解・遂行できる環境が必要です。「Teachme for Public」があれば、いつでも確認できるマニュアルが整備されるため、職員の業務負担が軽減され、効率化が図れるでしょう。
住民サービスの向上
特に高齢者が多い南伊豆町では、住民票や戸籍などの証明書がコンビニで発行できるようになったものの、使い方がわからず役所を訪れる方が少なくありません。今後は特に住民向けの情報マニュアルを作成し、役所に足を運ばずとも必要な情報を得やすい環境を整え、住民サービスの向上を図る予定です。
Teachme for Publicを選んだ理由
南伊豆町が「Teachme for Public」を選んだ理由は、以下の通りです。
1.
作成や閲覧の容易さ
業務手順を分かりやすくステップに分けて作成でき、ITに不慣れな職員でも簡単に操作できるため、負担を減らす手助けになります。
2.
LGWAN対応
「Teachme for Public」は、地方自治体で必要な高いセキュリティを保ちながら使用できるクラウドサービスです。
3.
外部公開機能
住民がマニュアルを見られるようにすることで、役所に行かずとも手続きができる仕組みが整えられます。
今後の展開
南伊豆町では、デジタル田園都市国家構想交付金を活用してこのシステムを導入し、3年間の検証期間を設けて段階的に活用していく方針です。まずは全職員共通の業務マニュアルを整備し、その後は各部署にコア人材を配置してさらに具体的なマニュアル作成へと進みます。2026年には、住民票や戸籍等の証明書の発行方法をはじめ、LINEを通じた予約などの情報も公開予定です。また、住民からの要望を集め、実際に必要とされるマニュアルの整備を進める住民参加型のアプローチも計画しています。
南伊豆町の長岡部克仁町長は、「Teachme for Public」の導入によって、紙で作成していたマニュアルが集約され、業務の属人化が防がれるだけでなく、職員の早期育成にも寄与すると期待を寄せています。さらに、マニュアルの外部公開機能を活用することで、住民が来庁しなくても情報にアクセスできる新たな仕組みを導入できるとしています。これにより、今後の行政サービスの質を向上させることが目指されています。
まとめ
南伊豆町は、デジタルマニュアルを導入することで、従来の業務の在り方を革新し、職員の効率化のみならず住民にも利便性を促進する新たな試みを実施しています。この取り組みが今後どのような成果を生むのか、注目が集まります。