スズキ株式会社、作業分析AI『Ollo Factory』を正式導入
技術革新の波が製造業に押し寄せる中、スズキ株式会社が人工知能(AI)を駆使した作業分析ソフトウェア『Ollo Factory』を正式に導入しました。この新たなAIツールは、国内工場での生産性向上や不良品の流出防止を目指すものです。
Ollo Factory導入の背景
株式会社Olloが開発した『Ollo Factory』は、スマートフォンやタブレットで利用できる動画解析AIであり、製造業に特化した作業分析を行います。スズキの中期経営計画において、「グループのマザー生産拠点として、技術とノウハウで手本となる」という目標のもと、AIを通じて生産技術の継承と精度向上を図る狙いがあります。
また、AI技術の活用は、企業としてのみならず、日本の製造業全体の競争力の向上にも寄与することが期待されています。
画期的な作業分析機能
『Ollo Factory』の特筆すべき点は、ウェアラブルカメラを駆使した高精度な作業分析ができることです。この機能により、自動車組立工程の死角を克服し、新人と熟練作業者の動作の違いや作業のつまずきポイントを詳細に解析できます。これにより、教育や改善活動がより効率的に行えるようになるのです。
さらに、リアルタイムで異常を検知する機能も搭載されており、ネジの締め忘れや作業ミスをその場で検出できます。この技術により、不良品検知の自動化や不良流出防止が実現し、品質のグローバル統一にも貢献することが可能です。
スズキとOlloの今後の展望
スズキの専務役員、市野一夫氏は、「Olloとの協業開始から約1年が経過し、AIを活用した技術に高い期待を寄せていた」と述べています。『Ollo Factory』の導入によって、慢性的な不良の根本的な解決策が見出され、生産現場の品質安定と効率化が進むことに強い期待を示しています。
一方、Olloの代表取締役CEO川合健斗氏は、「スズキ様のような先進的な企業に自社の『Ollo Factory』を導入していただけたことを大変光栄に思います」とコメント。自社の技術がスズキの生産性向上に寄与することに喜びを感じています。
Ollo Factoryの特徴
「Ollo Factory」は、東京大学松尾研究室発のAIスタートアップであるOlloが製造業向けに特化して開発した作業分析AIです。このソフトウェアは、ウェアラブルカメラやスマートフォンで撮影した作業動画をアップロードすることで、AIが自動的に作業を要素ごとに分割・解析します。
具体的には、以下の機能があります:
- - Tools: 手順書作成の自動化やムダの特定を行う。
- - Training: ベテランと新人の動作比較を通した効率的な人材育成。
- - Alert: リアルタイムで作業ミスや異常を検知し、不良品の流出を防止。
会社概要
株式会社Olloは2019年に設立され、工場での作業を解析する画像認識ソフトウェア『Ollo Factory』を提供しています。これにより、製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、生産性向上と品質向上を支援していきます。
Olloはスズキとの協業を通じて、さらなる技術革新を実現し、日本の製造業全体を力強く支える存在になることを目指しています。