革新的な医療の未来を切り開く浜松の提携
浜松市に位置する国立大学法人浜松医科大学(浜松医大)と、東京都のシミックホールディングス株式会社(シミック)は、2023年11月21日に包括連携協定を結びました。この協定は、国際的な競争力を持つ新たな創薬エコシステムを構築し、医療課題に立ち向かうことを目的としています。
浜松医大の強みとシミックの役割
浜松医大は、光技術や画像診断の先端的な研究基盤を有し、霊長類まで対応可能な非臨床試験体制やGMP(Good Manufacturing Practice)基準に準拠した医療体制を整えています。さらに、地域医療との強固な連携も特徴です。一方、シミックは医薬品開発支援における豊富な経験を持ち、特に霊長類疾患モデルに特化した専門性や、国内外の製薬企業との広範なネットワークを誇ります。
この提携により、浜松を拠点とした創薬研究と開発の新しいチャンスが生まれ、国内外の製薬企業やバイオベンチャーとの連携を強化することで、世界の医療問題への取り組みを加速させることが期待されています。
新たな創薬拠点の構築
本協定の主なものには、次のような重点項目が挙げられます。
1. 次世代トランスレーショナルリサーチの開発
このリサーチでは、非臨床試験と臨床試験を統合し、霊長類疾患モデルと先進的な画像解析を組み合わせた新たな開発モデルを構築します。これにより、医薬品開発のスピードが飛躍的に向上します。
2. 臨床試験ネットワークの整備
さまざまな特性を持つ臨床試験の受け入れ体制を整備し、被験者のニーズに応じた柔軟な対応を可能にします。これにより、日本が臨床試験の場としての魅力を高めることを目指します。
3. 浜松医療連携モデルの活用
地域医療の連携を通じて集積される医療情報を活用し、革新的な医療を早期かつ効率的に実現する方針です。
4. 創薬Open Innovationの促進
この取り組みでは、両者の間で人材の育成や交流が進められ、創薬イノベーションを生み出す環境を整えます。
浜松医科大学とシミックのビジョン
浜松医大は1974年に設立された静岡県唯一の国立医科大学で、高度な専門性を有する医療人材の育成に力を入れています。教育や研究での革新を追求し、患者のニーズを最優先に考えた医療を実践しています。シミックは、1992年に日本初のCRO(医薬品開発支援)事業を開始し、医薬品の開発から製造、営業・マーケティングに至るまで、広範な支援を行っています。両者が連携することで、従来の枠を超えた新たな価値が創造されることでしょう。
日本の医薬品開発は、国際的な治験の流れから取り残される「ドラッグロス」や「ジャパン・パッシング」といった課題に直面していますが、この協定を通じて、シミックと浜松医大は世界の医療に新しい道を切り開くことを目指します。未来の医療、そして創薬の分野で浜松が果たす役割に期待が高まります。