静岡初のナーシングホーム事業が始動
NPO法人ぴゅあは、数十年にわたり解決が求められていた社会問題に立ち向かうべく、静岡県内初となる重症心身障がい者のためのナーシングホーム事業に着手しました。この取り組みは、医療的ケアが必要な方々が抱える「親亡き後の問題」や「8050問題」を解決し、自立した生活を支援することを目的としています。
医ケア児支援法の流れと課題
2021年に施行された医ケア児支援法により、小児に関わる医療的ケアが大幅に改善されました。しかし、成人に対する生活保障は未だに十分とは言えない状況です。特に、重度の医療的ケアを必要とする方々のための福祉施設は不足しており、長い入所待ちの列が続いています。また、国は入所施設の増設を拒否し、グループホームの普及に重点を置いていますが、その制度設計では必要なスキルを持った医療者の常駐が難しく、最終的には家族による24時間体制のケアに頼らざるを得ないのが現実です。
様々な問題が同時進行
「親亡き後の問題」に加え、「8050問題」や「ヤングケアラー問題」とも深く結びついています。これらは、介護が必要な家族の状況が長期間にわたり続く中で新たな課題が生まれるためです。具体的には、親の介護による負担、親の不在時の子どもの生活維持、若い世代の介護負担、家庭の経済状況の悪化などが挙げられます。
このような厳しい状況を打破するため、当法人では2020年からの4年間にわたり、あらゆる可能性を模索してきました。障害者総合支援法だけでは解決できない問題に取り組むために、福祉制度や医療制度を組み合わせた新たな事業運営の手立てを見つけ出し、ついにナーシングホームの設立に至りました。
ナーシングホームがもたらす新たな可能性
新しく開設されるナーシングホームでは、入居者が日中は自由に外出し、夜は安心して施設に戻ることができる生活を実現します。この施設には、ヘルパーや看護師が常駐し、必要に応じて医師や理学療法士が訪れる体制が整えられています。重度の医療的ケアを必要とする方々にとっても、安心して生活を送れる終の棲家となることを目指しています。
親子分離により、親自身も自立し、子どもは新しい仲間との生活を楽しみながら、より自由で豊かな人生を歩むことができるでしょう。これにより、互いに依存せず、持続可能で生産的な社会を目指していきます。
共同体としてのビジョン
私たちは、障がいのある方々がその人らしく生きることができる共生社会の実現を掲げて活動しています。社会保障制度から漏れ落ちた方々を救い出し、全ての人々が平等に生活できる世の中を目指しています。私たちの事業を皮切りに、全国各地の生活水準を向上させることに貢献できることを願っています。
NPO法人ぴゅあの歩み
2011年に設立されたNPO法人ぴゅあは、重症心身障がい児者の親の会からスタートし、その後、医療的ケアを必要とする方々の生活支援を広げてきました。2025年を見据え、障がい者が生まれてから亡くなるまでの生涯支援を行う地域包括ケアシステムの構築を目指します。
また、現在、オープニングスタッフも募集中です。関心のある方はぜひご覧ください(
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