移動可能な木造建物「モクタスキューブ」で災害時の備えを強化
一般社団法人日本モバイル建築協会(以下、モバイル建築協会)は、災害時に応急仮設住宅として使える可搬型木造建物「モクタスキューブ」の設置を開始しました。この新しい取り組みは、あらかじめ作成された建物を平常時に活用することで、災害時に有効な「社会的備蓄」の概念を実現しています。
「モクタスキューブ」とは?
「モクタスキューブ」は、東急建設株式会社が開発した可搬型木造建物で、平常時にはアトリエやオフィスとして使用できますが、災害が発生した際にはすぐに応急仮設住宅として被災地に移設可能です。この取り組みは、フレキシブルな使用が可能なため、地域資源としての利用価値も高まります。
サスティナブルな社会の実現へ向けて
モバイル建築協会は、日本全国で大規模な自然災害が増加する中、迅速な住環境の提供が急務とされています。このような状況に対処するため、モバイル建築協会は、地域資源として活用することを目的とした「社会的備蓄」の仕組みを推進しているのです。
「モクタスキューブ」の特長
「モクタスキューブ」の一つのユニットは、約15㎡のサイズで、必要に応じて他のユニットと連結し、広さを変更できます。特に都内の建設現場では、3ユニットが連結され、2階建ての仮設事務所として設置されています。この建物は、一般の木造住宅と同等の耐震性や遮音性があり、高い断熱性能(UA値0.6以下)を備えているため、快適な住環境が確保されています。
災害時における迅速な対応
災害が発生した際には、この仮設事務所が速やかに移設され、住民のための応急仮設住宅などとして利用されます。移動は大型トラックにて行われ、現地では少人数で速やかに設置が可能です。この仕組みにより、災害時における応急住宅の供給が飛躍的に向上することが期待されています。
東急建設の挑戦と成果
東急建設は、過去に令和6年の能登半島地震において、復興支援のため「モクタスキューブ」を提供しました。この経験に基づき、災害時の供給を迅速に行うためには、事前に建物を製作・備蓄し、平常時に有効に活用することが鍵であると認識しています。現在、東京の建設現場での実績を経て、静岡県の現場でも今年中に第2棟目を設置します。
未来のまちづくりに向けて
この「フェーズフリーな取り組み」は、平時には建設業の労働環境改善に寄与し、有事には迅速に社会貢献に切り替えることが可能です。モバイル建築協会は、これを「社会的備蓄」の理想的なモデルとして位置付け、さらに持続可能な社会の実現へ向けた取り組みとして評価しています。
また、建設現場で使用された後でも、解体せずに他の場所に移築して再利用できる点も、東急建設の「廃棄物ゼロ」の理念に密接に結びついています。これにより、常に新しい価値を創出し続けることができるのです。
結論
日本モバイル建築協会は、今後もこのような先進的な取り組みを通じて、災害に強い街づくりを目指し、会員企業や自治体と共に連携しながら持続可能な社会に向けた貢献を続けていきます。