高齢者の文化芸術振興に関する提言
静岡県は超高齢社会に突入しつつあり、65歳以上の高齢者人口は2024年には約110万人に達すると予測されています。この現状に対して、アーツカウンシルしずおかは「高齢者の文化芸術振興に関する提言書」を発表しました。この提言書は、高齢者が文化芸術を通じて健康で充実した生活を送るための施策を提案しています。
提言の背景
これまで日本の高齢化は社会問題として取り上げられてきましたが、アーツカウンシルしずおかは、文化と芸術が高齢者の心の健康や自己肯定感を向上させる重要な手段となると考えています。特に、社交的なつながりや新しい生きがいを見つける手助けとして、文化芸術が果たす役割は計り知れません。
主な提言内容
提言書は主に7つのポイントから成り立っており、高齢者がより文化芸術に親しむことができる環境作りを目指しています。
1. 主体的な参加の場の創出
高齢者自らが文化や芸術に関与することができる機会を提供するため、地域の文化施設や集会所を整備することを提言しています。こうした環境は、心と体の健康を維持し、孤立感を軽減する効果が期待されています。
2. 対話型鑑賞プログラムの拡充
高齢者が過去の出来事を思い出し、語る機会を増やすことで、自我の統合が図れます。これを実現するために、文化施設や高齢者向けの対話型鑑賞プログラムの充実を求めています。
3. 施設での文化芸術活動
高齢者施設における文化芸術活動の導入が促進されるべきとし、特に表現活動を通じて高齢者自身が主体的に参加できる環境を作ることが望まれています。そのためには、ケアと芸術を繋ぐ専門家が必要です。
4. 超老芸術の普及
高齢者自身による創作活動「超老芸術」に対する認知度を上げることが提言されています。これにより、高齢者が表現する場が増えることを期待しています。
5. 人生の語りを支える取り組み
高齢者が自らの人生を語り、経験を共有することができるナラティブ・アプローチの普及が重要視されています。これによりコミュニティが形成され、次世代への文化の継承が促進されるでしょう。
6. 交通手段の整備
免許を返納した高齢者の移動手段が不足しているため、文化芸術活動へのアクセスを向上させるために予約型の乗り合い公共交通の導入が求められています。
7. 健康長寿の推進
約80%の高齢者が文化芸術活動を通じて「生きがい」を感じており、これを重要視すべきとされています。健康寿命を延ばすためには、文化芸術の活用が不可欠です。
アーツカウンシルしずおかは、これらの提言が政策に反映され、高齢者が文化芸術を通じて自己実現を果たし、静岡県の「幸福度日本一」に寄与することを目指しています。高齢者が心豊かに暮らすためには、文化芸術の普及が鍵です。