地域の魅力を発見し活性化する「おてつたび」の挑戦と成功

地域の魅力を引き出す「おてつたび」の挑戦

「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2025」選出の意義

株式会社おてつたびの代表取締役CEO、永岡里菜が日経WOMANによる「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2025」に選ばれたことは、彼女の情熱と地域振興への努力が広く評価された証です。この賞は、1999年から続く権威ある認定で、各分野で活躍する女性リーダーを称えます。

永岡氏は、地域の中で目立たないものの、強い魅力を持つ「尾鷲市」出身。彼女の思いは、出身地への愛着に根付いています。尾鷲市は、美しい自然と優しい人々が住む地域ですが、その名を知る人は少なく、「尾鷲？どこそれ？」という声を何度も聞いてきました。この現状をどうにかしたいとの思いが、彼女を動かしました。

尾鷲の知られざる魅力

尾鷲市は、漁業や林業が盛んで、自然に恵まれた場所です。しかし、観光名所が乏しいうえに、知名度が低く、地元の人々はその魅力を発信する手段に困っています。大学に進学し上京した永岡氏は、再び故郷のことを十分に知ってもらえないもどかしさを感じるようになりました。

「おてつたび」の誕生

社会人として様々な地域を訪れる中で、魅力あるが知られていない地域が多いことに気付いた永岡氏。これを解決するために、彼女は東京を離れ、半年間の旅を始めました。日本各地を巡る中で、地域の人手不足についても耳にし、「お手伝い」が新たな形で地域を活性化できると確信したのです。

「おてつたび」は、「お手伝い」と「旅」を結ぶマッチングサービスとして誕生し、訪れた参加者が地域で仕事を手伝うことで、旅を楽しむことができます。このビジネスモデルは、地域の人々にとっても、訪れる人々にとっても利益になる新たな形を提案しています。

地域を支える仕組み

「おてつたび」を通じて、地域で働くことは、訪問者が地元の人と接する貴重な機会となります。ここでの経験が、単なる観光を超え、深い交流を生み出すのです。2025年1月時点で、登録者数は6.7万人を超え、全国の47都道府県にわたる1,700の事業者が参加するまでに拡大しました。

さらに、参加者の86%以上が「また地域に訪れたい」と答え、約60%がその後も地域の人々と関係を続けています。中には移住や就職に繋がった事例も出ており、地域経済に新しい流れを生み出しています。