ハンガリーパビリオンの完成
静岡県焼津市の株式会社橋本組が手掛けた大阪・関西万博のハンガリーパビリオンが、2025年の開催を前に無事に完成を迎えました。このパビリオンは、ハンガリーの伝統文化と現代性を融合させた魅力的な空間であり、来場者にその価値を深く体感させる設計が施されています。
独創的なファサード「ひらひら」
「ひらひら」と名づけられたファサードは、まるで風に揺れる短冊のようなデザインが特徴です。最初は金属素材での設置を考えていましたが、強風が吹き荒れる万博会場の厳しい条件を考慮し、テント生地を選択しました。この生地は、しなやかさと耐久性に優れ、風と調和する美しい景観を作り上げています。35,500枚のパーツが手作業で取り付けられ、自然と一体化した優雅な印象を与えています。
複雑なドーム構造の実現
パビリオンの中央には、回転ステージを設けたドームが設置されています。このドームは、鉄骨と杉材の精密な施工が求められ、干し草をイメージした独特のデザインが施されています。形状が球体ではないため、高度な施工技術が必要でした。木材の取り付けには、ミリ単位での調整が行われ、精密さが求められました。これにより、訪れる人々に深い感動を与える空間が実現されています。
短期間での施工管理
限られた1年という時間の中で、施工精度とスピードの両立が求められました。地下階躯体の設計はプレキャスト法(PC)を用いて行い、工期を短縮。さらに、狭い敷地内での同時施工に伴う職人の流れを管理するため、大変な労力を注ぎました。多様な建材を組み込んだこのプロジェクトは、新たな知見と技術の向上をもたらす貴重な経験となりました。
3Dテクノロジーの活用
施工管理の精度を高めるために、3DCAD(レブロ)を導入しました。このシミュレーション技術によって、従来の方法を超えた複雑な設備システムに対応し、精密な現場管理が可能になりました。この技術力の高さが、橋本組の強さを物語っています。
福島県産資材の採用
このパビリオンには福島県産の建材が使用されており、復興の象徴として未来へ向けた希望を託しています。単なる建物に留まらない、この空間には日本の復興を思い起こさせるメッセージが込められています。
没入型シアタースペースの展開
ハンガリーパビリオンの中で最大の見どころである没入型シアタースペースでは、映像と音楽を駆使し、自然との関係性を表現。ハンガリーの文化と自然観を、音楽という共通言語を通じて訪れる人々にわかりやすく伝えています。この体験は、来場者にとって心に残るものとなるでしょう。
文化の架け橋
本パビリオンでは、ハンガリーと日本の文化に共通する「人間と自然との密接な関係」に焦点を当てています。過去からの教訓を生かし、未来を形づくるための新たな視点を体感できる特別な空間です。
橋本組の展望
102年の歴史を持つ橋本組は、この万博を足がかりにグローバル市場への挑戦を目指しています。目標は「トリプル1,000」、社員、売上、給与の全てで1,000を達成すること。今後も世界の舞台で技術力を発揮し続ける姿勢を大切にしていきます。加えて、ハンガリーパビリオンを貴重な経験として、さらなる更なる成長を目指します。